「電気回路を読む」、「電気回路を設計する」
というと
その分野にまったく知見のない初心者の方にとっては
難しくハードルが高いことと思われるかもしれません。
電気回路と一口にいってもいろいろあります。
その中には設計したり理解するのが難しい回路もあります。
その電気回路の中でも有接点シーケンス制御(リレーシーケンス)の回路は
理解がしやすい分野だと思います。
(有接点シーケンス制御(リレーシーケンス)については⇒
リレーシーケンスとは何かを速習したい初心者のためのサイト)
シーケンス回路設計の基本中の基本は 実現したい制御のため
a接点とb接点を組み合わせる
それだけです。
それで複雑な動きをする機械の制御回路も設計されています。
このa接点、b接点を使った電気制御は
意識したことがないだけで小学生の頃に実践した人は多くいます。
目次(クリックすると自動で飛びます)
1.a接点について
2.b接点について
3.少し具体的にシーケンス回路設計の基本を考えてみる
4.C接点とは
1.a接点について
a接点は絵で示したように、何もしないときは開いて接触していないが、
手を加えて動作させた時には、お互いが接触し閉じる接点のことです。
上は電池でランプを点灯させるイラストです。
ランプの点灯・消灯を自分で操作(制御)し、
ボタンを押した時だけランプが点灯するようにしたければ
a接点のボタンを電池とランプの電路にいれます。
a接点を使うことでランプを制御できたことになります。
2.b接点について
絵で示したように、何もしない時は閉じて接触していて、
手を加えて動作させた時は分離し開く接点をb接点といいます。
上はランプを消灯させるイラストです。
ランプの点灯・消灯を自分で操作(制御)し、ボタンを押した時だけ
ランプが消灯するようにしたければb接点のボタンを電池とランプの
電路にいれます。
b接点を使うことでランプを制御できたことになります。
極めて単純な例ですが、a接点、b接点を使うことで電気制御が
できたことにはなります。
もっと複雑な電気制御をしたい場合は、a接点・b接点の数を増やす
そして、ボタンだけではなく電子タイマーやセンサーなど
様々な特徴をもった電気制御機器の接点を使うだけです。
この考え方がシーケンス回路設計の基本です。
3.少し具体的に
シーケンス回路設計の基本を考えてみる
例えば、本当に簡易ですがエレベーターを例に考えてみましょう。
扉の前でボタンを押す → 扉が開く → しばらくすると扉が閉まる →
行きたい階のボタンを押す →エレベーターが移動 →
エレベーターが行きたい階に止まる → しばらくすると扉が開く
このシーケンス制御をa接点とb接点を使って考えてみます。
①扉の前でボタンを押す→扉が開く
ここでは、ボタンを押すと扉が開くのでボタンの
a接点を使ってこのような回路をつくります。
青色は扉を開くための電動機械だと考えてください。
ボタンを押すことで「扉のボタンのa接点」が閉じて扉を開く電動機械に
電気が通じて機械が動作して扉が開きます。
②しばらくすると扉が閉まる
扉が開いてしばらくすると扉が閉まるわけですが、
扉が開きしばらく時間が経過したことが分からないと(認識できないと)
扉は閉める動作をおこせません。
開ききる前、開いてすぐに閉じるようでは
危険で乗れません。
機械(回路)に扉が開いたことを教える電気制御機器として
センサーを使います。
扉が開いたことをセンサーで検出します。
検出すればセンサーのa接点が閉じてタイマーに
電気が通じタイマーAが動作します。
タイマーAが動作を始めて設定した時間が経過すると
タイマーAのa接点が閉じます。
扉を閉める電動機械に電気が通じ扉が閉まります。
タイマーを使うことで「しばらく」の時間を作ることができました。
③行きたい階のボタン押す→エレベーターが移動→
エレベーターが行きたい階で止まる
エレベーターを移動させる電動機械の電路に、行きたい階のボタンの
a接点と行きたい階に着いたことを検出するセンサーのb接点をいれています。
行きたい階のボタンを押すことでエレベーターを移動させる機械に
電気が通じてエレベーターが移動を始めます。
次に行きたい階に着いたことを機械(回路)に教えるため
センサーを使っています。
行きたい階にエレベーターが着くとセンサーで検出します。
センサーのb接点は開きエレベーターを移動させる機械への
電気を遮断します。
そうすることでエレベーターは停止します。
④しばらくすると扉が開く
「しばらくすると」ですので、時間制御をする必要があります。
タイマーBを使います。
タイマーBの電路に先程使った「行きたい階に着いたことを検出するセンサー」の
「a接点」をここでは使います。
同じ電気制御機器が1つで複数個の接点を持つことはよくあります。
エレベーターが着くことで、このセンサーのa接点が閉じ
タイマーBが動作を始めます。
タイマーBが動作を始めて設定した時間が経過すると
タイマーBのa接点が閉じます。
扉が開く機械に電気が通じ扉が開きます。
以上となりますが、接点やいろいろな電気制御機器を使うことで
目的の電気制御が実現できました。
実際のエレベーターのシーケンス回路は、
この例のように簡易的ではありませんが考え方は同じです。
このようにいろいろな特徴を持つ電気制御機器の接点を使って
機械を動かしていきます。
ここでは回路を5つ分けて書きましたが、
実際の回路図ではあわせて1つに書かれます。
複雑そうなシーケンス回路も分解すると
このようにいくつかの簡単な回路にできます。
それが組み合わさって複雑そうな回路ができています。
更に複雑な制御がしたければその分条件増えますので
回路や接点を増やしていきます。
これが基本の考え方です。
もし今まで機械に付いているシーケンス回路図が
難しいと思っていたならこういった考え方で見てみてください。
今までとは違った見え方がするかもしれません。
4.C接点とは
電気制御機器にはC接点をもった機器が多くあります。
C接点は「切替端子」とか「切替接点」ともいわれます。
上の絵のように3端子(接点)ありその中に共通の端子(接点)があります。
共通端子を中心にa接点、b接点と切り替えができます。
当方では、実習用キット付の
有接点シーケンス制御教材も扱っております。
シーケンス制御を0から解説し、
機械の故障現場での対応ノウハウ、
ある程度のシーケンス図が読めるように
なる内容となっています。
実習では、このページで解説した
a接点、b接点を使って
基本回路を自分で配線接続して
動作させ習得していきます。
興味がありましたら、以下をクリックして
ご確認ください。
⇒80代も独学で学ぶシーケンス制御基礎とトラブル対応術が見につく秘密とは
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