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第5回:三相誘導電動機(三相モーター)の回転原理 | モーター基礎講座

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この回では三相誘導電動機(三相モーター)の回転のしくみについて説明していきます。

三相誘導電動機の回転原理の説明1

上左写真、上中央写真は三相誘導電動機の回転を説明するためにキーとなる固定子と回転子です。
直流電動機と比較すると数も少なく回転子にも整流子などもなく極めてシンプルです。

三相誘導電動機の回転原理について語るとき、
必ずといっていいほどアラゴの円板の回転現象についてふれられます。
それはアラゴの円板の回転原理と三相誘導電動機の回転原理は同じだからです。

まずアラゴの円板について説明します。 上右写真は磁石とアルミニウムの円板です。
アルミニウムは磁石につきません。
しかし、磁石をこの円板上で回転させると、なぜかこの円板も 磁石と同じ方向に回転します。

論より証拠なので映像で確認してください。

→アラゴの円板の映像

映像で使った磁石は、U字磁石よりも磁力の強いネオジウム磁石を使いました。
綺麗ではありませんでしたが、それでも確かにアルミの円板は回転していました。

三相誘導電動機にあてはめると、磁石が固定子で円板が回転子になります。

この講座内で固定子は電磁石になるという話はしたと思います。
確かに磁石にはなるのですが、映像の磁石のように固定子は回転していません。

しかし物理的に回転はしていないだけで、確かにあの固定子の中で磁界は回転しています。

その磁界を回転磁界というのですが、
その説明をする前に三相交流について説明しておきます

三相誘導電動機の電源は三相というだけあって三相交流です。
また、単相誘導電動機の電源は単相交流になります。

単相交流と三相交流の波形

単相交流は一般家庭にも送電されている電源で、家庭のコンセントの電源は単相交流です。
このグラフの波形のように交流が1つです。
三相交流は主に工場など大きな電力を使う場所に送電されています。
このグラフの波形のように単相交流とは違い3つの交流が送電されます。

この3つの交流電源は、使用する私たちには3つ同時に送られてきているように感じますが
正確には位相をずらして送電されています。
では この位相について説明しておきます。

 

単相交流の位相について
右図は単相交流の波形です。
この波形を見ると、ぐちゃぐちゃな波形ではなく同じ形をした波形が繰り返されています。
同じ時間の周期で同じ電圧値となっています。
位相は、このような周期的に繰り返す波形の位置を示すものだと考えてください。
位相の単位は°で波形が1周期すると360°となります。
ですので、半周期は180°、その半分は90°となります。

 

三相交流の位相について

 

右図は三相交流の波形です。
三相交流はこの位相を120°ずつずらして送られています。
時間的なことを位相として角度であらわすと違和感があるとは思います。
しかし、三相交流の位相がずれているということは
三相誘導電動機の回転原理を理解する上で必要です。
違和感が消えないようであれば、この基本講座では難しく考えず
単にずれているだけ 思ってくれても結構です。

では、この三相交流で固定子の中に回転する磁界ができる
理由を説明していきます。

固定子のスロットにコイルをおさめる
上の絵のように、固定子の鉄心にはコイルが巻かれています。
三相誘導電動機では、そのコイルに電源を入力します。

三相モーターの口出し線

 

実際には右写真のように コイルは電源電線を接続する端子箱に口出し線として でてきていますので、この口出し線に三相交流電源の電線を接続します。
口出し線を見ると3本あります。
これはコイルが3つあるということで、
それぞれのコイルに三相交流電源を接続します。

 

三相誘導電動機なので、コイル3つ、交流電源3つで説明するべきですが
分かりやすく考えるため、まずはコイル1つ、交流電源1つで 説明していきます。

 

三相モーターの回転原理を説明するためのイラスト
右の絵は固定子鉄心にコイルが1つ巻いてある絵だと思ってください。

絵に○がありますが固定子の溝、スロットにあたります。
そして、黄色の線がコイルです。

スロットにコイルがおさまっていることを書いています。
ここではコイルは2重に巻いていますが、
これは回転磁界の説明のための絵だから見やすいように書いています。
本物のモーターでは何重にも巻かれています。
そして、線の両端がコイルの端になります。
左の絵は斜めからの立体的な絵でしたが、右の絵は正面から見た絵と思ってください。
○がスロットで黄色がコイルになります。
黄色の○があるのは、スロットにコイルがおさまった状態だからです。

単相交流の時間のポイントの図

右は単相交流の波形です。
この単相交流をこのモーターのコイルに入力したとして考えていきます。
交流は直流と違い時間と共に大きさと向きが変化します。
ですので、 T0~T5までの各POINTで考えていきます。

まずは、T0です。このPOINTは0Vですのでコイルには電流は流れませんね。

次はT1です。 このPOINTでは+電圧がコイルに
印加されます。

 

交流モーターの回転原理の説明

左の立体的な絵で見た場合、この矢印の方向が
+電圧で電流が流れる方向だとします。
ちなみにこの方向で電流が流れたとき、
右の正面からみた絵では ×と○で示します。

×は正面からこの画面の裏側に向かって電流が流れることを ○は画面の向こう側から正面に向かって電流が流れていることを示します。
一般的な参考書ではこういった書き方をして電流の方向を示しているものが多いので
知っておくと便利です。
×と○がどっちの向きかわからなくなることがあります。 そういった時は弓矢を連想します。
×から弓矢の羽の部分を連想して、矢が向こうに向かっていると想像します。
●から弓矢の矢先の部分を連想して、矢が向こうから向かっていると想像します。
あとは、矢の向きをそのまま電流の向きにあてはめるだけです。

次に、この方向に電流が流れる時に発生する磁極を考えるわけですが
そのときに、また学校で習った法則を復習する必要があります。
それは右ねじの法則です。
右ねじの法則の説明

電線などの導体に電流を流すと、その周囲には磁界が発生します。
電流の向きを右ねじに進む向きに あてはめると磁界の向きは右ねじの回転方向であらわせる
これが右ねじの法則でした。
そして、磁界の向きはN極からS極へ向かう向きでした

 

 

交流モーターの回転原理の説明2ではT1のポイントで考えていきます。

このポイントの固定子の中の磁極は右のようになります。

次はT2です。 T2では電圧の大きさが変わるだけで方向は変わりません。
ですので磁極はこのままであることはわかってもらえると思います。

 

交流モーターの回転原理の説明3次はT3です。 T3では電圧の方向が-になります。
つまり、電流は+方向とは逆で上のイラストの方向に流れます。 そして、右ネジの法則から磁極は上のイラストのようになります。
先程の+方向の時の磁極とは逆の磁極になりました。
T4も方向が-なので磁極は同じです。

 

そして、T5では+なので今度はまたひっくりかえります。
そして、これを無限に繰り返していきます。
このように交流電圧を加えることで、磁極は入れ替わります。
では、この単相交流と1つのコイルの考え方を踏まえた上で
三相交流と三相誘導電動機の説明をしていきます。

3相交流での交流モーターの動作説明

ここに三相交流の波形と正面からみた固定子の絵があります。
三相交流はそれぞれをA相・B相・C相とします。
三相交流はそれぞれの相が120°ずつ位相がずれていました。
それぞれのコイルをA,B,Cとし、A1,B1,C1を巻き始め、A2,B2,C2を巻き終わりとします。
電圧が+側の時は、コイルに電流が1から2の方向へ流れると考えてください。
コイルAならA1からA2の方向へ流れるということです。
では、時間の各POINTで考えていきましょう。

三相誘導電動機のコイル電流の向き

 

では、T0のPOINTで考えてみましょう 。A相は+方向の電圧で最大値、B相・C相は-方向の電圧です。
ですので、電流の向きは上のイラストのようになります。
A相は+方向なので、A1からA2に電流が流れるのでA1が×A2が○になります。
B相、C相は-方向なので、B2,C2からB1,C1へ電流が流れるのでB2、C2が×、B1,C1が○と なります。

 

 

 

三相誘導電動機の磁界の向き

 

 

右ネジの法則から磁界の向きは上のイラストのようになります。
3つのコイル、それぞれに磁界、そして方向があります。
ですので、1つの時とは違い3つを合成して考えます。 それぞれの磁界の方向をみてください。

 

 

 

三相誘導電動機の合成磁界の向き

それを合成すると、右のイラストの紫の方向となります。 磁界の方向はN極をでてS極へ入るので 合成してできたN極、S極になります。
ちなみに、N極、S極を総して磁極といういい方をします。 これが三相交流、三相誘導電動機での考え方となります。

あとのPOINTでも考え方は同じです。

 

 

 

motor519

T1を考えます。 T1ではC相が-電圧で、A相・B相は+電圧です。
ですので、上の左イラストのような電流の向きになります。
そして、それぞれのコイルの磁界の向きは中央のイラストになります。
合成した磁界の方向と磁極は右のイラストのようになります。
ここで注目してもらいたいのは磁極の位置です。
N極、S極の位置がT0からT1に変わることで変わっています。
ここからは一気に残ったPOINTの磁極を見てもらいます。

 

motor521T0~T4まで 合成した磁極に注目してください。 時間の経過と共に移動、回転していっています。
POINTはT4までしかつくりませんでしたが、この先をみていくと 最初のT0の位置になる、
つまり一回転するということは予測できると思います。
あとは、この回転が何度も繰り返されるだけです。

このようにアラゴの円板では自分で磁石を回しましたが、
三相誘導電動機では 磁界が自動で回転します。
この回転する磁界のことを回転磁界といいます。

回転磁界について なんとなくでもイメージできましたか?

直流電動機、三相誘導電動機の回転はフレミングの左手の法則で説明できるといいました。
ですので、アラゴの円板についてもこの法則で説明できます。
先程までの説明で、磁界についてはわかったと思います。

フレミングの左手の法則は磁界中で電流が流れる導体に
力が作用するという法則です

ですので、磁界は存在するのであとは回転する導体に流れる
電流ということになります。

直流電動機では、電機子コイルに直流電源から電流が流れていました。

しかし、アラゴの円板にしても、三相誘導電動機の回転子にしても
電源を接続 していないので、電源から電流が流れるわけではありません。

でも、回転しているのですから電流は流れているわけです。
それは次のような現象が起こっているからです。

渦電流の説明イラスト

左の絵のような板状の導体に磁石を遠ざけたり近ずけたりして動かし板への磁界を 変化させると、板に渦状の電流が流れます。
その電流を渦電流といいます。電流は磁石を遠ざける方向、近ずける方向に動かすことで向きが変わります。
この渦電流が電源がないのに流れる電流の正体です。

 

磁界と電流が分かりましたので、アラゴの円板で回転をみていきます。

 

アラゴの円板での渦電流右のイラストのネズミ色はアルミの円板だと考えてください。
そして磁石が絵のように 下から上へ移動 右回転で移動したとします。
磁石があった元の位置は磁石が移動したということは磁石が遠ざかったことになります。
磁界の変化により渦電流が流れます。
磁石が移動してきた位置は磁石が近ずいたことになりますので渦電流が流れます。
磁石を移動させることでこのように渦電流は流れます。
磁石を遠ざける、近ずけるで電流の向きは違いますので
イラストのような電流の向きとなります。

 

アラゴの円板の回転のしくみ

磁石からの磁界の向きはN極が円板の表面、S極が円板の裏面にあることから 表面から裏面になります。
フレミングの左手の法則より 磁石の移動方向に電磁力が発生します。
この電磁力が円板を回転させる力です。
磁石は連続的に回転移動しますので 今説明した現象も連続しておこり円板は 回転し続けるわけです。
こういった理由でアラゴの円板は回転しています。

 

三相誘導電動機では、円板ではなく回転子に渦電流が流れて回転をします。
簡単にお話しましたが、以上が三相誘導電動機の回転原理、回転のしくみとなります。

この講座とは別に三相誘導電動機について
概要を手早く学習したい場合は、以下の
サイトで概要をまとめていますので
参考にしてください。

三相誘導電動機(三相モーター)とは?やさしく概要から理解しよう

三相誘導電動機(三相モーター)について
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→非凡なモーターが原因の機械/設備故障対応入門へ
 
 
 
→第6回モーター基本講座:単相誘導電動機(単相モーター)について

→第4回モーター基本講座:直流電動機(直流モーター)の回転原理

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