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第8回モーター基本講座:モーター(三相誘導電動機)の故障対処について

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この回は、三相誘導電動機が故障原因である
機械設備の故障対応について説明していきます。

これは、三相誘導電動機自体の故障修理について説明するのではなく、
機械設備のトラブルが三相誘導電動機の故障が起因で発生している場合の
故障調査なども含め故障対応について説明するということです。

説明は三相誘導電動機の写真等を使いながら行いますが
他のモーターにも共通することですので、
三相誘導電動機に限らず使えます。

私の会社では三相誘導電動機自体の故障修理も一部は行いますが、
機械設備の故障対応を主業務としていますので
その方がより実践的な説明ができると思います。

まずこの回では、三相誘導電動機でよく起こる故障について説明します。

三相誘導電動機の故障の大半は固定子コイルと軸受の故障です。

ここでいう軸受とはベアリングのことです。

昔ある統計を見たのですが、この2つで三相誘導電動機の故障の
50%以上はしめていたと記憶しています。

実際に仕事をしていても、三相誘導電動機が故障原因で機械設備が
トラブルを起こしてる時はこの2つの故障が多いです。

ここからはこの2つがどんな故障なのかを説明していきます。

固定子コイルの故障

固定子コイルの故障内容は、ほとんどが焼損です

焼損故障は固定子コイルが許容できる以上の熱を
持ったことが原因でコイルが焼けてボロボロになる故障です。

 

モーターのコイル焼損の比較写真

上写真は固定子コイルの写真です。
左の写真は焼損していない正常なコイルです。そして右の写真が焼損したコイルの写真です。

比較すると焼損している方は黒く焼けてしまい、見た目で明らかに違いが分かります。
許容できる以上の熱を持ち、最終的に焼ける原因は過電流です

モーターの銘板の定格電流部

上写真はモーターについている銘板です。銘板はそのモーターの仕様が書かれた大事なものです。

銘板の中で紫で囲んだ枠を見てください。
丸にはA(アンペア)と書かれ、□には数字が書かれています。
これはこのモーターの定格電流です。

三相誘導電動機の口出し線から三相交流電源を通じると、
中の固定子コイルに電流が流れて三相誘導電動機は動き始めます。

この定格電流は、その時 定常的・連続して固定子コイルに流せる最大の電流値です

先程、過電流という単語がでましたが、過電流とは何Aからが過電流というわけではなく
モーターによってその値は変わり、そのモーターにとっての過ぎた電流ということです。

ですので、この銘板に書かれた定格電流以上の電流を流し続けることが
この銘板のモーターにとっての過電流ということになります。

過電流を流し続けた結果、コイルは焼損するのです。

過電流がコイルに流れ続けると大きな熱を持つわけですが、
それはジュールの法則により説明できます。

抵抗に電圧を印可すると電流が流れます。その時、抵抗には熱が発生します。

この熱を熱エネルギーといいます。

その公式ですが、熱エネルギーQは電流の2乗かけ抵抗かけ時間となります。
単位ですが熱エネルギーはジュール、電流値Iはアンペア、抵抗値Rはオーム、
時間tは秒になります。

これをジュールの法則といいます。

この世の中の物質は大きくも小さくも何らかの電気抵抗をもっています。
人間も持っています。 そして、コイルにも抵抗があります。

その抵抗を持ったコイルに電流が流れ続けることで
熱エネルギーが大きくなり 許容できる範囲を超えて焼損するわけです。

電気製品を触ると熱くなっていることはありませんか?

それは、今説明したようなことが起こっているからです。

ですので、その電気製品を流れる電流が大きくなり許容できる範囲を超えると
コイル同様焼損してしまいます。

三相誘導電動機を流れる電流値は使用状態によって変動します。

その一例は、軽い物体を動かす時の電流値と重たい物体を動かす時の電流値は
重たい物体を動かす時の電流値の方が大きいです。

その他、電源電圧の状態などその使用状態によって変化するものだと考えてください。

機械・設備の故障対応の場合、今までは正常に動いていたわけです。
ですので、故障前までの使用状態は問題なかったわけです。

状態が変わり故障したわけですから、三相誘導電動機を修理するだけではなく
その原因を調査して対策を打つ必要があります。

それが、モーターだけを故障修理する仕事とは違うところです。

しっかりと故障に至った原因・メカニズムが分からず、修理したモーターを
そのまま機械に取り付けて 使用してもまた同じ故障が起きてしまいます。

「そんなこと当たり前」と思うかもしれませんが、
原因を調べずにそのままモーターだけを修理するなり
新品に交換するなりしてまた同じ故障を発生させる業者は結構います。

当たり前のことができない大きな理由はモーターに関する知見がないからです。
苦しまぎれに修理して同じ失敗をしてしまうわけです。

この回では、その原因調査やメカニズムについての説明はしませんが、
コイルが焼損した三相誘導電動機は修理しないといけません。

固定子コイルの巻き替えについて

焼損したコイルは巻き替えて修理をします。
焼損したコイルを取り除き、新品のコイルを巻いて交換するわけです。

このコイルの巻き替えは誰にでもできるものではなく、技術習得した専門の職人が行います。

巻き替え職人は昔は沢山いたのですが、近年は減ってきています。

その理由はいくつかあります。
一つは、焼損から保護する機器の性能があがったことです。

焼損からモーターを守るため保護機器を取り付けることがあります。
その機器の性能があがり 焼損からモーターを守れるようになったことです。
それにより、昔ほどモーターが焼けなくなり仕事が減ったのです。

他には、昔と比較しモーターの価格が下がりましたが、
職人の工賃は上がったとがあります。

工賃が上がったので、巻き替えて修理するよりも価格が下がった
新品モーターに交換した方が メリットがあることもあります。

私の会社でも、定格出力によっては巻き替えはせずに新品に交換しています。

巻き替えの方が新品を買うよりも安いのですが、
古いモーターだとコイル以外にも
摩耗して傷んでいる部分もあるので新品にした方が
総合的に考えていいことあるからです。

こういった理由で仕事も減り、
そして高い工賃も請求しずらくなり職人は減っていっています。

仕事は減ってはきていますが、巻き替え技術は非常に重要です。

それはコイル焼損で故障して新品がすぐに手に入らない時、
巻き替え修理をしてラインを復旧させないと 生産がひっ迫している時は
大きな損害が出てしまいます。

他にも、焼損したモーターと新品モーターでの取付寸法などが違い、
機械との取り合いがあわないこともあります。

その場合、土台となるベースからつくり直したりするなど
新たな費用と時間が発生します。

そうした場合は巻き替えた方がメリットがあることもあります。

そういったことからも、巻き替えの仕事は今後も非常に重要だと考えています。

ベアリングの故障について

三相誘導電動機の故障で固定子コイルの焼損同様によく発生する故障である
ベアリングの故障について説明します。
まずは、最初に故障したベアリングの映像の一例を見てください。

→ベアリングの故障例の映像へ

映像では、ベアリングが破損してガクガクになっていました。
あの映像の状態は、故障状態が進行してかなりひどい状態になっています。
ベアリングは機械部品の中で軸受に分類されます

 

モーターの回転構造

この講座で説明しましたが、モーターは回転子の両軸にベアリングを嵌めて、
ブラケットの勘合部とベアリングの外輪がきっちり嵌ることで、
軸受けが文字どおり軸を受けることでしっかりと回転できます。

そういったことからもベアリングは非常に重要な部品です。

まずは、ベアリングの故障にどのような状態があるか頭にいれてほしかったので
いきなり故障したベアリングの映像をみてもらいました。

しかし、ベアリングについて初心者の方はよくわからないと思いますので
ベアリングについて少し説明していきます。

ベアリングにはいろいろな種類があるのですが
私の会社で最も使用することが多いボールベアリングについて説明します。

ベアリングの分解写真
上左写真のベアリングを分解すると、上中央と上右の写真のようになります。
ベアリングは分解すると写真のように外輪と内輪、転動体・保持器になります。
転動体は、写真のように玉などの回転するもので、
保持器は転動体である玉の位置がずれないよう 保持するものです。
外輪と内輪の間に転動体と保持器が入り、
玉である転動体が回転することでベアリングの内輪は回転するわけです。

ベアリングの転動体にグリス

そして摩耗を防ぎ回転をスムーズにするために
右写真のように転動体にはグリスを塗っています。

では、ベアリングの転動体が見えた状態で
ベアリングの内輪を回転させている映像をみてください。

→ベアリングの転動体が回転している映像へ

ベアリングの内輪、転動体は回転子と一緒に高速回転しますので、
長期使用により摩耗していきます。

そして中のグリスが乾くと摩耗が促進します。

 

ベアリングの球がさばけた写真
故障状態は右写真のように転動体が
さばけたりします。

モーターを組立てた状態だとベアリングはモーターの中で見えませんので、
ベアリングの摩耗はわかりません。

モーターを分解しなくても、ベアリングの摩耗を知る方法は
その回転音を聞くことです。

ベアリングが摩耗していると、モーターを回転させると、
正常状態とは違う大きな音だったり聞いていられないような音がしたりと異常な音がでます。

私も音を聞くことでベアリングの摩耗に気が付くことがほとんどです。

異常な音がしていてもベアリングをとりあえずは使えます。

しかし、そのまま放置しているとこの回の講座の
最初に見てもらった映像のような状態となり、
もっと大きな故障につながるので早い段階で 修理をした方がいいです。

ベアリングの修理方法は新品と交換して行います。
通常、同じ型名のベアリングと交換します。

ベアリングの型名の見方

 

上写真のようにベアリングの本体や銘板にベアリングの型名が書かれているので
その型名のベアリングに交換します。

ベアリング自体だけではなくベアリングが関係する・ベアリングが原因となる
モーターの故障は多いので まずはしっかりとベアリングについて把握する必要があります。

では次に映像で、摩耗して異常音がする
ベアリングの音を聞いてください。

→摩耗して異常音がするベアリングの音へ

→第9回モーター基本講座:三相誘導電動機の電気故障調査について

→第7回モーター基本講座:三相誘導電動機の電気制御について

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