このページでは、3eリレー、
モータリレーについて解説して
います。
あなたが、制御盤、シーケンス制御など
電気制御に関わる方なら
2eリレーは見たことが必ずあると
思います。
(2eについては後述します)
3eリレーは限られた用途で使用されることが
一般的ですので、あまり見ることは
ありません。(主観かもしれませんが)
だから、3eリレーとは何か、
モーターリレーとか何かを知る必要がない
かというとそうでもありません。
電気制御に関わるなら
3eリレーというキーワードが出てくることは
あり、使うことはなくても
何かは知っておいた方が良いでしょう。
1.3eリレーとは、モーターリレーとは
3eリレーとは、大まかにいうと
三相誘導電動機の保護をする電気制御機器です。
(三相誘導電動機については
以下のページを参考ください。
→三相誘導電動機(三相モーター)とは)
3eリレーは三相誘導電動機を
何から保護するかについてですが、
過負荷(過電流)、欠相、逆相です。
それらについて
簡単に説明しておきます。
過負荷(過電流)
過負荷とは、三相誘導電動機が
その能力(容量)以上の重い負荷を
動かそうとしている状態のことです。
過負荷状態では、その三相誘導電動機の
定格電流以上の電流が流れます。
この状態の電流を過電流といいます。
その過電流が流れる状態が続くと
三相誘導電動機のコイルが焼損すると
いった故障をします。
(コイルの焼損については
以下のページを参考ください。
→固定子コイルの故障)
欠相
三相交流 R相,S相,T相の内、
どれか相が欠けることを欠相といいます。
欠相した電源を印可すると、
三相誘導電動機は正常動作しません。
1例として、
1相欠けることを単相というのですが
単相交流で三相誘導電動機を始動すると
回転を開始せずに、定格電流の
数倍の大電流が流れます。
そのまま放置すると
コイルが焼損します。
電源線の断線や電源線と三相誘導電動機の
入切スイッチとして使わわれることが多い
電磁接触器の主接点故障などで
欠相は起こることがあります。
(電磁接触器については
以下のページを参考ください。
→電磁接触器とは、電磁開閉器とは)
逆相
三相交流は
正相と逆相があります。
三相誘導電動機は正相と逆相で
回転方向が逆になります。
下図のように、三相交流の3本の電源線の内
1対入れ変えることで
相順が変わり(正相・逆相が変わり)
回転方向は逆になります。
![](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2017/02/sanmotor26-e1487466058591.png)
駆動する用途によってはポンプのように
正転で使用する電気機器や
逆転で動作させると故障する機器など
正常に使用できない用途もあります。
使う電源元は必ずしも正相になるように
3本の電源線を接続しているとは
限りません。
(目視では正相/逆相は分かりません)
異常運転・故障を防ぐため
逆転防止リレーの保護機器が使われます。
ちなみに、正相・逆相は
検相器を使えば確認できます。
役割
前述のとおり
過負荷、欠相、逆相は
三相誘導電動機、又は駆動する機器を
故障させる可能性があります。
3eリレーを使うことで
それら全てから保護することが
できるのです。
モーターリレーとは
3eのeは要素(ELEMENT)のeです。
3eリレーの名称は
過負荷、欠相、逆相の3つの
保護要素があるリレーの総称です。
モーターリレーは3eリレーの
商品名として使われることが
一般的に多いです。
3eリレーの機能を持つ商品を
オムロンはモータリレー、
三菱電機は電子式モータ保護リレーという
名称で販売しています。
下写真はオムロンの
モータリレーです。
![モータリレーの例(K2CM):オムロンHPより](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/03/3e3.png)
モータリレーの例(K2CM):オムロンHPより
2.サーマルリレーとの違い
三相誘導電動機をコイル焼損などの
故障から保護する機器として
サーマルリレーが最も使われています。
(サーマルリレーについては
以下のページを参考ください。
→サーマルリレーとは何か)
3eリレーとサーマルリレーの違いに
ついて解説します。
動作原理の違い
動作原理から
3eリレーは静止形継電器、
サーマルリレーは熱動形過負荷継電器と
呼ばれることがあります。
静止形(3eリレー)は
半導体などの電子部品を使い
電子的に過電流の検知を行います。
熱動形(サーマルリレー)は
発生する熱で過電流の検知を行います。
バイメタルにヒーター線(ヒータエレメント)を
巻つけ、ヒーター線に流れる電流で熱して
バイメタルを変形させた応力を利用しています。
(熱動形については
以下のページを参考ください。
→仕組みと動作原理について)
3eリレーは
電子的に電流を検知することから
三菱電機の「電子式モータ保護リレー」
のように商品名に「電子」を入れている
メーカーもあります。
エレメントの違い
3eのeは要素(ELEMENT)のeで
3つの要素を示します。
3eがあるということは
1e,2eもあるのですが
以下の要素になります。
1e:過電流
2e:過電流、欠相
3e:過電流、欠相、 逆相
この中で
サーマルリレーは、1eと2eになります。
冒頭で電気制御に関わる方は
2eリレーは見たことがあると
書いたのはそのためです。
1eリレーは
ヒータエレメントが2つ(2素子)
2eリレーは
ヒータエレメントが3つ(3素子)になります。
このEについてサーマルリレーでは
紛らわしいことがあります。
サーマルリレーの1Eリレーは2素子で
2Eタイプともいい
2Eリレーは3素子で3Eタイプといったり
するので紛らわしいのです。
3.3eリレーよりよく見る組み合わせ
当方は色々な機械・設備を
扱っていますが
3eリレーより
サーマルリレーと逆相防止リレーを
セットで使っているパターンを
見ることの方が多いです。
2eリレーのサーマルリレーで
過電流と欠相を、
逆相防止リレーで逆相から
保護しているのです。
逆相防止リレーは
逆相だけ検知する保護機器です。
下写真はオムロンの
逆相防止リレーです。
![逆相防止リレー:オムロンHPより](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/03/3e2.png)
逆相防止リレー:オムロンHPより
4.まとめ
①
3eリレーは過電流、欠相、逆相から
三相誘導電動機を保護する
②
モータリレーは3eリレーの
商品名として使われることが多い
③
サーマルリレーは1e,2eリレーである
④
3eリレーは電子形、サーマルリレーは熱動形で
動作する
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