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電子サーマルとは、基本がわかる【6項目】

汎用インバータ

このページでは、
モーターを焼損から保護する
電子サーマルについて
概要を解説します。

電子サーマルを正しく知ることで
機械の動力として欠かせない
モーターをしなくていい故障から
守って下さい。

1.電子サーマルとは

このページで説明する電子サーマルは
インバータに内蔵されている
機能の1つである電子サーマルです。

汎用インバータ

汎用インバータ-三菱電機

インバータについては
以下のページを参考ください。

インバータとは?概要の79%まで分かるよう15項目で解説

インバータにも照明の点灯に
使うものから色々ありますが、

このページで書くインバータは
三相誘導電動機で使い
回転速度を可変する
市販されている汎用インバータです。

三相誘導電動機については
以下のサイトを参考ください。

三相誘導電動機(三相モーター)とは?

電子サーマルの役目は
三相誘導電動機を過電流による
コイルの焼損という故障から
保護することです。

2.モーターのコイルの焼損と電子サーマル

三相誘導電動機を使っていると
予期せぬトラブルでそのモーターが
動かせる能力(容量)以上の
負荷を動かそうとすることがあります。

その状態を過負荷といいます。

過負荷状態では
そのモーターの定格電流以上の
電流が流れます。
(コイルに流れる)

定格電流とは、そのモーターが
定常的に流してもいい
最大電流値です。

定格電流が流れ続けると
モーターのコイルが焼損します。

コイルが焼損したモーターは
故障しているので
使用することができません。

このコイルの焼損については
以下のサイトでは、もっと詳しく
説明していますので 参考ください。

モーター(三相誘導電動機)の故障対処について

電子サーマルの機能は
過電流状態を検知して
インバーターをトリップさせます。

トリップしたインバータは
停止した状態となり
三相誘導電動機への電源供給も
停止します。

この機能のために
コイルが焼損する前に
動作を止めコイルを保護するのです。

3.電子サーマルの設定

汎用インバータは、電子サーマルの
機能を内蔵していますが
初期設定で、電子サーマルの機能は
ONになっています。

ですので、特別に何かした
ことはありません。

しっかり確認しないとは
いけないことは
電子サーマルが機能する
電流値です。

この電流値も
ほとんどの機種で
初期設定で設定されていますが、、、

インバータは駆動する
三相誘導電動機の容量に
あわせた機種を選定します。

例えば11kwの三相誘導電動機を
駆動したい場合は
11kw用のインバータを選定します。

この場合、電子サーマルの設定値は
初期設定で11kwの三相誘導電動機の
コイルが焼損しない定格電流値内に
なっていることが一般的です。

(*三菱電機、富士電機はしています。
他社もそうなっているとは思いますが
未確認です)

ですので、私も特に設定したことは
ありません。

設定が必要な場合は
三相誘導電動機の容量よりも
大きい容量を駆動できる
インバータを使うときです。

例えば5.5kwの三相誘導電動機を
11kw用のインバータで駆動する場合、
電子サーマルの設定値は11kw用に
設定されているので、

11kwよりも定格電流が低い
5.5kwのモーターの保護は
できません。

こういった場合は
自分で設定値を変えて
使うモーターの定格電流に
する必要があります。

4.トリップとは

トリップというキーワードを
使っていますが、

トリップとはインバータが
エラーや保護機能が作動して
停止した状態です。

インバータは電子サーマル以外にも
様々な機能、保護機能が
内蔵されています。

電子サーマルは過電流エラーですが
他には過電圧保護機能など
様々です。

それらが作動すると安全と
故障防止のためインバータは
トリップします。

何のエラ-でトリップしたかは
写真のようにインバータの
ディスプレイに英数字で表示されます。

インバータのトリップ例

インバータのトリップ例

三菱電機の汎用インバータでの
電子サーマルでのトリップは
「E.THT」か「E.THM」になります。

エラー内容は多くありますので
マニュアルを見て、何のエラーで
トリップしたかを確認しています。

インバータは制御盤内に設置
されることが多いですが
制御盤内にマニュアルを
置いてくと便利ですね。

5.トリップしたら、どうする?

電子サーマルが作動して
トリップしたらどう対処するかに
ついてですが、

1回トリップしたインバータは
リセットするか、電源を1回切らないと
再度使うことはできません。

これは電子サーマルの
トリップ以外でも同じです。

電子サーマルでトリップしたと
いうことは、過電流、過負荷状態に
なったということです。

過電流、過負荷の原因を
取り除かないと
同じようにトリップして
しまいます。

私は機械にもよりますが
だいたいは、トリップを
解除した後、1回そのまま
動作させてみます。

その状態でモーターへ
流れる電流を測定して

定格電流値内ならば
しばらく動作させて
問題なければ 
そのまま使っています。

その時、たまたま機械の
使い方が悪かったのか、
誤作動なのか、トリップした
原因は不明ですが

そのまま、ずっと使えるパターンは
多いです。

もし、再度トリップしたり
電流値が定格電流以上なら
原因を調査しましょう。

モーターの軸を手で回転させて
軽く回転するかなど
負荷が重くなってないか、

モーター、負荷共に
重くなってなければ

インバータとモーターを
接続する電線を外して
インバータ単体で動作させて
みましょう。

それでも同じように
トリップすれば、インバータの
故障の可能性もあります。

6.電子サーマルとリレー

1台のインバータで複数の
三相誘導電動機を1度に
回転させることは
よくやることです。

例えば、
3.7kw用のインバータで
1.5kwの三相誘導電動機を
2台動かすとかです。

1.5kw×2=3.0kw
ですので、3.7kwの
インバータ1台で動作させることは
可能なのです。

こういった使い方をするときに
電子サーマルで注意しないと
いけないことがあります。

それはインバータの電子サーマルの
設定値は3.7kW用の定格電流に
なっていることです。

4極/200Vの定格電流は
3.7kwでは16Aぐらい
1.5kwでは7.6Aぐらいです。

もし、2台の内1台の
モーターが定格電流を超えるが
流れても、この状態だと
電子サーマルは作動しません。

ですので、コイルを焼損させる
可能性があります。

実際に、このことで
モーターのコイルを焼損させている
事例を経験することはあります。

1台のインバータで
複数のモーターを駆動する
場合は、インバータ内蔵に
電子サーマルに頼らず

外付けできる
サーマルリレーを
モーターの台数分設置します。

インバータで複数台のモーターを駆動する場合

インバータで複数台のモーターを駆動する場合

以下の写真が
サーマルリレーです。

サーマルリレーの写真

サーマルリレーの写真

サーマルリレーも
電子サーマル同様に
過電流による三相誘導電動機の
コイル焼損から保護できます。

サーマルリレーについては
以下のサイトで解説しておりますので
詳細はそちらで確認ください。

サーマルリレーとは何か理解できる7項目とは

7.まとめ

モーターを使っていると
過負荷状態になることは
よくあることです。

それによるコイルの焼損から
保護はしておいた方がいいですね。

故障修理をしていると
コイルが焼損したモーターに
関わることが多くあります。

サーマルリレーをつけて
いれば防げたのに。。。

と思うことが多々あります。

このページのテーマである
電子サーマルはインバータに
内蔵された機能で
多くのメーカーでは

何もしなくても
機能は作動しており
過負荷からモーターを
保護しています。

しかし、正しく理解できて
いないと使い方によっては
保護しきれません。

このページが
電子サーマルを正しく知る
きっかけになれば幸いです。

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汎用インバーターの初心者向けの
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