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第4回:直流電動機(直流モーター)の回転原理 | モーター基礎講座

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この回では直流電動機の回転について考えていきます。

直流モーターの部品写真

上写真が直流電動機の回転を説明するためにキーとなる部品です。
左上の写真は固定子です。 そして、その下は固定子の中を見た写真です。
見ただけではわかりにくいですが、この赤色の部分がコイルです。
巻いたコイルをテープで巻いてその上からニスで固めています。

中央上の写真は回転子です。そして、右上の写真はブラシです。

回転について説明するためには更に回転子を分解して考えていく必要があります 。
中央下の写真を見て下さい。
回転子には整流子またはコミュテーターと呼ばれる部分
電機子コイルまたはアマチェアコイルと呼ばれる部分があります。

これらがどのような役割かは 後で説明していきます。
まずは その名前とこういった部品があるということを知っておいてください。
では、簡単な絵で直流電動機がどうやって回転するかを説明していきます。

直流電動機の回転原理説明の絵1

 

右のイラストは直流電動機の回転を説明するための絵です。
赤青でNSと書いてある部分は固定子だと考えてください。
固定子は電磁石ですのでN極とS極があります。

そして、固定子の中に電機子コイルがあります。
ここでは説明の便宜上、 四角く巻いています。
この電機子コイルは回転子とも考えてください。
その理由は電機子コイルは回転子の鉄心に巻かれているからです。
回転子が回転するということは、イコール電機子コイルが回転する
ことと同じことです。
回転について分かりやすく説明するためには
電機子コイルの絵で説明した方がいいのでこうしました。

あと、電機子コイルに整流子が接続されています。
上の電機子コイルの写真では分かりにくかったと思いますが、
円形で繋がっているわけではなく この絵のように電気的に分離されています。

あとブラシがあります。ブラシは整流子に接触しています

そして、直流電源は乾電池としました。
乾電池は電線を通してブラシと接続されています。
電機子コイルは整流子と接続されています。
ですので、乾電池と電機子コイルはつながり乾電池から電機子コイルへ電流が流れます。

それぞれの絵の説明が終わりましたので回転について説明していきます。
前回、モーターの回転はフレミングの左手の法則で説明できるいいました。

直流電動機の回転原理の説明2

フレミングの左手の法則は磁界の向きと、力を受ける導体に流れる電流の向きと
力を受ける向きの相互関係を左手であらわすものでした。
ですので、まずはそれぞれの向きを考えていきます。

まずは磁界です。これはN極からS極へ向かう向きですので、紫の矢印の向きになります。
次に物理的な力を受ける導体に流れる電流の向きです。
力を受けて回転するのは回転子ですので、電機子コイルに乾電池から電流が流れます。
電流はプラスからマイナスに流れますので 緑の矢印の向きになります。
フレミングの左手の法則をあてはめると、力は赤の矢印の向きに働きます。
そして電機子コイルは力をうけた方向に動きます。

後は、これが連続していくわけです。

直流電動機の連続動作の絵
では、右の絵を使って連続的に見ていきます。

上で説明した力を受けて電機子コイルは動いています。
このように電機子コイルつまり回転子が電線や電源などに
制約を受けずに動けるのは、整流子とブラシは接触しているだけで接続されているわけではないからです
ですので、お互いに擦りあいながら動きます。

そして、更に力を受けて回転をします。
中央左の絵の位置では整流子とブラシの接触がなくなるため
電機子コイルに電流は 流れなくなりますが、
慣性で回転を続けます。

そして、 平行の位置を通りすぎたところで再び整流子とブラシは接触し
回転を続け 元の位置に戻ります。
このようにして回転を続けていきます。 これが直流電動機の回転です。

直流モーターのカーボンブラシについて

先程の連続回転を示す絵では、整流子片は1つで電機子コイルも1つでしたが、
実際は上左写真のように1つではありません。
整流子をみると円形で繋がっているわけではなく区切があり
分離されているのがわかると思います。
分離された一つ一つが整流子片で そして、電機子コイルからの口出し線で接続されています。

中央の絵の位置で直流電動機が静止した状態で止まった場合、
電機子コイルに電流が流れないので 回転をスタートできないはずですが
実際の整流子片は1つではなく連続しているので、
どの位置からでも回転をスタートできるわけです

直流電動機が三相誘導電動機に置き換わっている理由の一つとして
構造上、メンテナンスが必要で、故障もしやすいという理由があります
それがこの整流子とブラシです。

ブラシと整流子が接触した状態で回転子は回転しますので、
この上右写真のように摩耗して ブラシはちびていきます。
そして、最終的にはしっかりと接触しなくなり モーターが動作しない故障状態となります
ではなぜ そんなやっかいないなブラシと整流子が必要なのか考えてみます。

 

直流モーターに整流子とブラシが必要
仮に、整流子とブラシがなく直流電源と
電機子コイルが直接接続されていたとしましょう。
最初は、前説明したのと同じように回転をしていきますが
一回転すると 電機子コイルに流れる電流の方向が逆転しています。
ですので、回転方向も逆転してしまい
同じ方向に回転し続けられないわけです。
ですので、円形ではない分離した
整流子片2つと2つのブラシで電流の方向を逆転させる
必要があるわけです。
これが直流電動機の回転原理、回転のしくみの基本の基本というところになります。

次回は三相誘導電動機の回転のしくみについて説明します。

→第5回モーター基本講座:三相誘導電動機の回転原理

→第3回モーター基本講座:直流電動機と交流電動機の内部構造とフレミングの左手の法則

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3 件のコメント

  • 分かりやすい解説ありがとうございます。
    大変勉強になります。
    1点、コイルの回転方向ですが「左手の法則」でどうしても赤矢印の向きとは反対方向になるのですが単に記載ミスなのか私の見方が間違えているのか・・・

    • コメントありがとうございます。

      ご指摘のとおり、間違っております。

      修正しようと思っているのですが、なかなか作業ができずに
      います。

      混乱させてしまい申し訳ありませんでした。

  • 非常にわかりやすくて助かりました!ありがとうござます!
    ひげさんのコメントで納得できました。私も疑問でした。
    もう一点、最後の方の文章で「一回転すると 電機子コイルに流れる電流の方向が逆転しています。」とありますが、半回転ではないでしょうか?
    私の認識違いでしたら無視してください。

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