「どのメーカーのPLCが良いの？」──仕様や価格だけで比べて決めると、あとで
開発ソフトのライセンス費・学習コスト・人材の確保・サポート体制
といった“見えないコスト”で困ることがあります。本記事は
三菱電機／キーエンス／オムロン／Siemens／Allen-Bradley
の主要5社を、ハード以外も含む判断軸で比較。さらに、
現場で効くのはラダー図の読解力であることを、実務目線で解説します。
まず基礎を押さえたい方は、PLC入門（概要がわかる）も併読してください。
主要PLCメーカー比較一覧表
“数字より現場で詰まらない選び方”を基準に、以下の観点でまとめています。
- 価格帯/TCO（本体＋I/O＋開発ソフトのライセンスやサポート費まで）
- 学習・情報量（日本語資料・eラーニング・事例）
- ソフトの入手性/使いやすさ（評価版・トライアルの有無、導入容易性）
- サポート/調達性（問い合わせ体制、供給速度・在庫など）
- エコシステム親和（センサ・モーション・IIoTとの統合）
| メーカー（公式TOP） | 価格帯/TCO（要点） | 学習・情報量 | ソフト入手性/使いやすさ | サポート/調達性 | エコシステム親和 | 強み（短評） |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 三菱電機 公式サイト | 中：開発ソフトはライセンス製品。案件規模に応じてTCOの確認が必要。 | 高：日本語の資料や学習導線が厚い傾向。 | 中：評価版は基本的に資料ベース。導入経験者のノウハウが豊富。 | 高：国内の人材・外注調達のしやすさが強み。 | 高：PLC/モーション/HMI/ロボ/インバータなど統合度が高い。 | 国内実績と情報の厚みで、学習〜保守が進めやすい。 |
| キーエンス 公式サイト | 中〜高：ソフトは配布/体験版の提供あり（案内は公式サイト参照）。 | 高：動画・セミナー・サンプルなど学習資源が充実。 | 高：体験版やインストーラの入手導線が明確（詳細は公式に準拠）。 | 高：供給や技術対応のスピードに定評（提供状況は公式で要確認）。 | 中：自社センサ等の連携資産が豊富。 | サポートと供給スピードを重視する現場で有力。 |
| オムロン 公式サイト | 中：開発ソフトはライセンス前提。評価版/トライアルの提供状況は公式参照。 | 中〜高：Sysmac等の統合環境の情報が継続拡充。 | 中〜高：申請〜入手手順が整備（地域により案内が異なる場合あり）。 | 中：一般的なサポート体制（地域/販売経路で条件に差）。 | 高：センサ/モーション/安全/ロボットの統合に強み。 | ライン全体の最適化や連携設計がしやすい。 |
| Siemens 公式サイト | 中〜高：ソフトはライセンス製品。評価版/クラウド試用などの案内は公式参照。 | 中：一次情報は英語中心。日本語は限定的な場合あり。 | 高：試用導線が整備されており導入検証が行いやすい。 | 中：グローバルの資料/サポートは潤沢（地域依存）。 | 高：欧州規格・装置との親和、統合エンジニアリング。 | 海外展開や標準化重視の案件で選好されやすい。 |
| Allen-Bradley（Rockwell） 公式サイト | 高：Studio 5000 はライセンス体系を選択可能（詳細は公式資料参照）。 | 中：トレーニングやドキュメントは英語中心。 | 中：選定/注文ガイドが整備されている（公式参照）。 | 中〜高：北米でのサポート網が強い傾向。 | 高：Logix/FactoryTalk群とのエコシステムが強力。 | 北米案件や大規模ラインで実績が厚い。 |
※価格・ライセンス・サポート・トライアル等の提供内容は、メーカーや販売チャネル、地域・時期により異なります。
本記事は公開時点の公式公開情報をもとに編集的に整理したもので、将来の変更を保証するものではありません。詳細は必ず各社の
の公式サイトでご確認ください。
比較や導入以前のPLCの知識に不安がある方は、PLC初心者クイック解説で全体の流れをざっと把握してから戻ると理解が早いです。
【メーカー別】特徴と得意分野を詳しく解説
三菱電機：国内実績と情報量で「初心者の王道」
日本語の資料・事例・学習導線が厚く、初学者〜保守委託までの導線を描きやすいのが強み。開発ソフトはライセンス製品のため、案件規模に応じて総コスト（TCO）を確認しながら選定すると失敗が少なくなります。
キーエンス：サポート力とスピードで現場に強い
検証〜立ち上げのスピードを重視する現場で選好されやすい傾向。ソフトの体験版や学習コンテンツの導線が分かりやすく、初期検証のハードルが低い点がメリットです（提供状況は公式サイトを参照）。
オムロン：FAセンサ連携と統合プラットフォーム
センサやモーション、ロボット、安全まで一体で設計できる統合環境が特徴。評価版や試用の提供は地域サイトでの案内になる場合もあるため、公式の案内に従って手続きするとスムーズです。
Siemens：統合エンジニアリングと試用導線
統合エンジニアリング環境の整備や試用導線の分かりやすさが魅力。海外拠点・欧州規格との親和性が求められる装置で特に検討価値が高まります。
Allen-Bradley：北米での浸透とエコシステム
大規模ラインやプラントでの実績が厚く、エコシステム（Logix/FactoryTalk群）を一体で運用したいケースに向きます。ライセンス体系やサポート契約は、公式資料の最新情報に沿って確認しましょう。
【重要】ハードの性能比較だけでは失敗するPLC選びの罠
- ソフト費・教育費を見落とす：導入後のライセンス/メンテ契約・トレーニング費まで含めてTCOで比較。
- 学習情報や人材の希少性：日本語情報や外注の確保しやすさはメーカーで差が出る。
- 地域サポート/供給速度：拠点や在庫、問い合わせ窓口の体制は実運用のダウンタイムに影響。
結論：どのメーカーを選んでも必須になる『ラダー図の読解力』
最終的に仕事で価値を生むのは、ハードそのものではなく人のスキルです。
メーカーが変わっても、
ラダー回路を作成する力・読みとく力（ラダー読解力）は普遍。トラブル対応や改造のスピードに直結するので、ROIの差となって表れます。
ラダー図の基本が知りたい方は、「ラダー図とは」基礎解説をご参照ください。
ハードの知識だけでは到達できない、プロの思考法を学ぶ
PLC比較に関するFAQ
- Q. 個人で学習用に購入する場合、どのメーカーがおすすめですか？
- 学習情報の厚み／評価版や試用の有無／外注しやすさで判断するのが近道。国内主体なら三菱・キーエンス・オムロンは情報導線が豊富。海外装置・拠点との親和を重視するならSiemensやAllen-Bradleyも候補になります（詳細は各公式サイト参照）。
- Q. 海外製のPLC（Siemensなど）を日本で使うメリット・デメリットは？
- メリット：グローバル装置・規格との親和や統合度。デメリット：日本語情報や国内人材は国内メーカーほど厚くない場合がある。運用開始後のTCO（ソフト/サポート）も事前に確認しましょう。
【重要なご案内】本記事は公開時点の公式公開情報をもとに編集しています。価格・ライセンス・試用提供・サポート条件・在庫/供給等は変更される場合があります。最終判断の前に、必ず各メーカーの公式サイト・最新資料をご確認ください。