2.8tホイストのギア油漏れの
メンテナンスをしました。
ホイストは、長年使うと
ギア部に充填している油が外部に
漏れてきます。
油漏れの原因は
シールの劣化です。
メンテナンスは分解して行います。
ですので、
ホイストを取り外す(おろして)
必要があり、分解・交換・組立・再上架・
電気配線接続等、工数がかかります。
一般的には
2.8t程度の軽量のホイストは
工数がかかるメンテナンスよりも
新品へ取り換えた方がコスパが
いいので、やりません。
今回は、今のホイストを
そのまま使った方がよい事情が
あったのでメンテナンスをすることに
なりました。
1.ギア油の漏れる箇所と推測
![メンテしたホイスト](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/kahome1-e1686706136378.png)
メンテしたホイスト
上写真がメンテナンスした
ホイストです。
ワイヤードラムを挟んで
ギア側とモーター側があります。
ギア油はギア側にいれるわけだが
ギア側には油漏れを防ぐために
当然シールがあります。
今回はギア側よりも
モーター側のワイヤードラムからの
油漏れがひどいです。
なぜ、油がないモーター側から
漏れるかというと
軸を通じてギア側から油が
伝わってくるからです。
軸のはめ込み部には
オイルシールを装着していますが
それは、時間と共に劣化してきます。
そこから、油が流れて
モーター側のワイヤードラムから
漏れたと推測します。
モーター側は、元々油がない前提ですので
シールをしていないので、
余計に漏れるわけです。
2.分解と油漏れ部
![油漏れ部](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/kahome2-e1686708559161.png)
油漏れ部
上写真は、分解後のモーター側の
ワイヤードラム部です。
写真のように油がたまっています。
これだけ溜まり、シールもなければ
隙間から油が漏れるのも納得できますね。
3.組立と交換
![交換したオイルシール](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/kahome3-e1686710378281.png)
交換したオイルシール
上写真が交換した
オイルシール部です。
これが劣化すればギア部の油が
ワイヤードラムに流れ込むことは
考えられます。
今回は油漏れを修理するためなので
交換は絶対ですが
他の理由の分解であっても
交換する部品です。
あとは、劣化しやすい部位の
ベアリングも交換します。
![回転子のベアリング交換](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/kahome4-e1686710433533.png)
回転子のベアリング交換
(ベアリングについては
以下のページを参考ください。
⇒ベアリングの故障)
(回転子については
以下のページを参考ください。
⇒三相誘導電動機(三相モーター)の構造)
液状シールもしかっり
塗って再度の漏れを防ぎます。
![勘合部へ液状シールを塗る](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/kahome5-e1686710590156.png)
勘合部へ液状シールを塗る
この際、以前の残り跡は
綺麗に取り除くことが重要です。
4.終わってみて
結構な工数や材料費、
その他もろもろがかかりました。
やはり2.8tぐらいのホイストなら
新品に交換した方が
トータルで考えるとメリットが
あるでしょうね。
(今回は、事情があり
メンテナンスしました)
30年近く使っていれば
色々な部品は多少なりとも
摩耗はしているでしょうし、
補修用部品もいつ供給停止に
なるか分かりませんので。。。
交換はしませんでしたが
摩耗していた部品として
固定子のコイルがありました。
![固定子コイルの半焼け](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/kahome6-e1686721089573.png)
固定子コイルの半焼け
上写真のように
熱を持った形跡があり
半焼けしています。
(固定子コイルの焼損については
以下のページを参考ください。
⇒固定子コイルの故障)
とりあえず数年間使えているし
固定子は価格も高いので
完全に故障したときに交換することに
しました。
今回は日本ホイストのホイストでしたが、
ギア油漏れは、数十年経過すれば
どのホイストでも見受けられます。
メーカーは10年に1回、シール交換等の
メンテナンスを推奨していますが
よほどの事情がない限りは
手間・コスト面からできないでしょうね。
ギア油の補給だけして
放置している会社も多くあるようです。
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