水中ポンプの
故障対応をしました。
![フロート式水中ポンプ:鶴見](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/subu1-e1686742589932.png)
フロート式水中ポンプ:鶴見
水中ポンプは上記写真の
鶴見製作所の
小型のフロート式水中ポンプです。
1.故障症状
故障状態は排出したい廃水の
水位が上昇しても
まったく動作しないというものです。
フロート式水中ポンプは
水位が上がり、上側のフロートスイッチが
浮き上がると動作します。
排出が進み水位が下がって
下側のフロートスイッチが垂れ下がると
動作を停止します。
2.調査内容
廃水は、きれいな水ではなく
化学薬品と多少のゴミも
混ざる汚い濁水です。
インペラに異物が絡んで回転しなくなる
こともあります。
確認しましたが、特になく
インペラは手で軽く回転します。
この水中ポンプのモーターは
三相誘導電動機です。
(三相誘導電動機については
以下のページを参考ください。
⇒三相誘導電動機(三相モーター)とは)
電源が単相になって
動作しない可能性があります。
この水中ポンプはコンセントから
電源を直接とっているわけではなく
装置があり、その装置で
動作を電気制御されています。
制御盤内を確認しました。
(制御盤については
以下のページを参考ください。
⇒制御盤とは)
水中ポンプを入切する電磁開閉器は
動作しており、テスターで2次側に
三相電圧もでていることを確認できました。
(電磁開閉器については
以下のページを参考ください。
⇒電磁接触器とは、電磁開閉器とは)
水中ポンプ近くにある
接続部でも三相電圧が測定できたので
断線による単相ではないようです。
こうなると
水中ポンプ内部での
断線や内部スイッチの摩耗
などが推測されます。
3.対処
この先の調査は
分解する必要があります。
小型の水中ポンプの新品は
価格が高くはありません。
ですので分解して、修理するよりも
新品に交換した方が
コスパが良いことが多いです。
(このあたりのことは
後述します)
加えて、この水中ポンプは
化学薬品も混ざる濁水の悪環境で
5年以上使っています。
下写真からも
悪環境が分かると思います。
![故障した水中ポンプ](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/subu2-e1686742636843.png)
故障した水中ポンプ
十分に元は取っているので
修理せず新品交換することで
対処しました。
次の日には
新品が納入したので
装置を長く止めずにすみました。
4.分解
参考のため
故障した水中ポンプを分解したので
内部を紹介しておきます。
4-1.故障状態を再現
まず電源をいれて
故障状態をみました。
動いたり、うーんと音だけがして
回転しなかったり、
音もしなかったりといった様子です。
確かに調子は良くないですね。
4-2.電気制御部
![水中ポンプの電気制御部](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/subu3-e1686745585211.png)
水中ポンプの電気制御部
上写真が
電気制御部の内部です。
構成部品は、
フロートスイッチ、トランス
電磁リレーです。
(電磁リレーについては
以下のページを参考ください。
⇒電磁リレーとは)
電磁リレーを
三相誘導電動機の入切スイッチにする、
トランスでAC20Vへ降圧して
電磁リレーの操作電圧とする、
フロートスイッチを電磁リレーの
入切スイッチにする、
といった電気回路に
なっていますね。
故障状態から
電磁リレーの接点故障も
考えられます。
接点は
確かに摩耗はしていました。
4-3.フロートスイッチ内部
![フロートスイッチの内部](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/subu4-e1686745640183.png)
フロートスイッチの内部
上写真が
フロートスイッチ内部です。
中におもりが入っています。
フロートスイッチが浮き沈みすることで
おもりが動きます。
このおもりが、
プラスチックのスイッチを
接触・非接触します。
このスイッチが
マイクロスイッチのアクチュエーターを
動作させて検出する仕組みになっています。
(マイクロスイッチについては
以下のページを参考ください。
⇒マイクロスイッチとは)
故障状態から
マイクロスイッチの故障も
考えられますね。
4-4.モーター部
![モーター部](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/subu-e1686748030141.png)
モーター部
上写真が
モーター部です。
モーターのコイルには
コイルの焼損保護のために
サーマルプロテクタが
取り付けられています。
コイルへ焼損の恐れがある
電流が流れ続けえると
電路を遮断し保護します。
(固定子コイルの焼損については
以下のページを参考ください。
⇒固定子コイルの故障)
4-5.インペラ部
![インペラ部](https://elec-tech.info/wp-content/uploads/2023/06/subu5-e1686748069115.png)
インペラ部
上写真がインペラ部です。
軸にはメカニカルシールが
嵌められています。
軸からの油や水の侵入を防ぎます。
5.最後に
前項で分解して
内部の構成を紹介しました。
内部の部品は、故障していなくても
摩耗しているので
分解時はメンテナンスとして
交換した方がいいです。
ベアリング、メカニカルシールも
交換した方がいいし
もちろん、組立時はシールも
交換する必要があります。
これに加え、故障原因として
推測できる部品も全て交換するのです。
その他の部品も摩耗は
しており、いつ故障するかわかりません。
高価でない製品なら
新品に交換した方が
トータルでメリットが大きいと
いうことは理解できると思います。
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