ホイストの突発故障の修理をしてきました。
1.故障状態
客先で聞いた故障状態は
巻上動作でたまに動かなくなるとことです。
ホイストのメーカーは明電です。
定格荷重は2.8tです。
まずは、自分でも故障状態を見ないと
何とも判断できないので
巻上動作をさせましたが、
確かに一瞬巻き上げなくことが
あります。
2.やったこと
この症状の原因は、色々考えられますが
経験上、最も疑わしいのは
巻上用モーターのブレーキが
開放されず作動したままで
動作することです。
明電のこのホイストのブレーキ部の
電気回路は、
巻上モーターをON/OFFさせる電磁接触器の
補助接点を通してブレーキコイルに
通電してブレーキをON/OFFさせるように
なっています。
(電磁接触器については
以下のサイトを参考ください。
→電磁接触器とは、電磁開閉器とは何か)
補助接点は主接点と違い摩耗しやすいので
接点の接触不良がおき、ブレーキコイルに
通電しなくなり、結果
ブレーキが開放しなくなります。
今ついている電磁接触器は
2a2bの電磁接触器です。
そして接点はa接点、b接点
一つずつしか使ってないので余っています。
(a接点、b接点については
以下のサイトを参考ください。
→シーケンス回路設計の基本とは)
余っているa接点に
接続しなおしました。
その後試運転すると
巻上は正常に動作し続けました。
もう接点は余ってないので
次の故障したら電磁接触器本体の交換になります。
3.所感
明電以外のホイストでも
ここで説明した巻上ブレーキの電気回路に
しているメーカーもありますね。
そのメーカーでも同様の故障は
起こるので経験上、故障状態から
推測はしやすかったです。
あとは、巻上動作しか
この症状が起きないことも
推測の確度を上げました。
巻上モーターやブレーキそのものが
故障の場合は、巻下動作でも
同様の症状が出るからです。
そういった理由から
巻上だけに関係している
箇所を疑えばいいのです。
ブレーキが開放してないのに
無理に動作させようとすると
モーターに過電流が流れ
コイルを焼損させてしまいます。
(コイルの焼損については
以下のページを参考ください。
→固定子コイルの故障)
ですので、動きがおかしいと
感じたら無理に使わず
専門家に相談してください。
簡単で済んだ修理が
更に大きな故障をさせて
大修理になることもありますので。。。
あと、明電はホイスト事業から
撤退しています。
他社が事業を引き継いでいます。
数年前から補修部品がなくなるのでは
ないかと私の身近でいわれていましたが
2022年は、多少時間がかかりましたが
ある型名のブレーキ部品は供給していました。
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