水中ポンプの
故障対応をしました。
水中ポンプは上記写真の
鶴見製作所の
小型のフロート式水中ポンプです。
1.故障症状
故障状態は排出したい廃水の
水位が上昇しても
まったく動作しないというものです。
フロート式水中ポンプは
水位が上がり、上側のフロートスイッチが
浮き上がると動作します。
排出が進み水位が下がって
下側のフロートスイッチが垂れ下がると
動作を停止します。
2.調査内容
廃水は、きれいな水ではなく
化学薬品と多少のゴミも
混ざる汚い濁水です。
インペラに異物が絡んで回転しなくなる
こともあります。
確認しましたが、特になく
インペラは手で軽く回転します。
この水中ポンプのモーターは
三相誘導電動機です。
(三相誘導電動機については
以下のページを参考ください。
⇒三相誘導電動機(三相モーター)とは)
電源が単相になって
動作しない可能性があります。
この水中ポンプはコンセントから
電源を直接とっているわけではなく
装置があり、その装置で
動作を電気制御されています。
制御盤内を確認しました。
(制御盤については
以下のページを参考ください。
⇒制御盤とは)
水中ポンプを入切する電磁開閉器は
動作しており、テスターで2次側に
三相電圧もでていることを確認できました。
(電磁開閉器については
以下のページを参考ください。
⇒電磁接触器とは、電磁開閉器とは)
水中ポンプ近くにある
接続部でも三相電圧が測定できたので
断線による単相ではないようです。
こうなると
水中ポンプ内部での
断線や内部スイッチの摩耗
などが推測されます。
3.対処
この先の調査は
分解する必要があります。
小型の水中ポンプの新品は
価格が高くはありません。
ですので分解して、修理するよりも
新品に交換した方が
コスパが良いことが多いです。
(このあたりのことは
後述します)
加えて、この水中ポンプは
化学薬品も混ざる濁水の悪環境で
5年以上使っています。
下写真からも
悪環境が分かると思います。
十分に元は取っているので
修理せず新品交換することで
対処しました。
次の日には
新品が納入したので
装置を長く止めずにすみました。
4.分解
参考のため
故障した水中ポンプを分解したので
内部を紹介しておきます。
4-1.故障状態を再現
まず電源をいれて
故障状態をみました。
動いたり、うーんと音だけがして
回転しなかったり、
音もしなかったりといった様子です。
確かに調子は良くないですね。
4-2.電気制御部
上写真が
電気制御部の内部です。
構成部品は、
フロートスイッチ、トランス
電磁リレーです。
(電磁リレーについては
以下のページを参考ください。
⇒電磁リレーとは)
電磁リレーを
三相誘導電動機の入切スイッチにする、
トランスでAC20Vへ降圧して
電磁リレーの操作電圧とする、
フロートスイッチを電磁リレーの
入切スイッチにする、
といった電気回路に
なっていますね。
故障状態から
電磁リレーの接点故障も
考えられます。
接点は
確かに摩耗はしていました。
4-3.フロートスイッチ内部
上写真が
フロートスイッチ内部です。
中におもりが入っています。
フロートスイッチが浮き沈みすることで
おもりが動きます。
このおもりが、
プラスチックのスイッチを
接触・非接触します。
このスイッチが
マイクロスイッチのアクチュエーターを
動作させて検出する仕組みになっています。
(マイクロスイッチについては
以下のページを参考ください。
⇒マイクロスイッチとは)
故障状態から
マイクロスイッチの故障も
考えられますね。
4-4.モーター部
上写真が
モーター部です。
モーターのコイルには
コイルの焼損保護のために
サーマルプロテクタが
取り付けられています。
コイルへ焼損の恐れがある
電流が流れ続けえると
電路を遮断し保護します。
(固定子コイルの焼損については
以下のページを参考ください。
⇒固定子コイルの故障)
4-5.インペラ部
上写真がインペラ部です。
軸にはメカニカルシールが
嵌められています。
軸からの油や水の侵入を防ぎます。
5.最後に
前項で分解して
内部の構成を紹介しました。
内部の部品は、故障していなくても
摩耗しているので
分解時はメンテナンスとして
交換した方がいいです。
ベアリング、メカニカルシールも
交換した方がいいし
もちろん、組立時はシールも
交換する必要があります。
これに加え、故障原因として
推測できる部品も全て交換するのです。
その他の部品も摩耗は
しており、いつ故障するかわかりません。
高価でない製品なら
新品に交換した方が
トータルでメリットが大きいと
いうことは理解できると思います。
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