三菱重工業の横中ぐり盤の
故障修理をしました。
三菱重工業は工作機械部門を、
2021年にニデックマシンツール株式会社に
株式譲渡をしたようですね。
1.故障症状
故障症状は
Y軸、Z軸が始動ボタンを押していないのに
勝手に動き始めるというものです。
しかも、常に故障症状がでるわけではなく
たまにでるというやっかいな状態です。
運転士の方が操作する操作盤には
始動ボタン以外にも沢山のボタンやスイッチ、
ボリューム抵抗等がついています。
(操作盤については
以下のサイトを参考ください。
⇒操作盤とは)
(ボリューム抵抗については
以下のサイトを参考ください。
⇒可変抵抗器(ボリューム)とは)
運転士の方がいうには、勝手に動き始めると
停止ボタンを押しても停止しない、
トグルスイッチをOFFにしないと
停止しないとのことです。
(トグルスイッチについては
以下のサイトを参考ください。
⇒トグルスイッチとは)
このトグルスイッチは操作回路の電源を
ON/OFFするスイッチです。
電源を切らないと止まない、
明らかに暴走しています。
加工物がある時に、
暴走して商品に傷をつけたら大変です。
2.やったこと
電気回路図(シーケンス図)から関連する回路
を見ると結構複雑なシーケンス制御になっています。
(シーケンス図については
以下のサイトを参考ください。
⇒シーケンス図とは)
(シーケンス制御については
以下のサイトを参考ください。
⇒3ステップで理解するシーケンス制御とは)
電磁継電器、電磁リレー、押ボタン、
リミットスイッチなど
いろいろな機器の接点が絡んでいます。
(電磁リレーについては
以下のサイトを参考ください。
⇒電磁リレーとは)
(押ボタンについては
以下のサイトを参考ください。
⇒電磁リレーとは)
(リミットスイッチについては
以下のサイトを参考ください。
⇒リミットスイッチとは)
とりあえずは電気回路図を見ながら
シーケンス的に異常に関係する部分
テスターで調べていると故障がでなくなりました。
常に故障症状がでるわけではなく
たまにでるというやっかいな状態です。
調べた感じだと横中ぎり盤本体の
制御盤から運転士が操作に使う操作盤までの
電線が混線しかかっていて
誤動作しているように思えました。
(制御盤については
以下のサイトを参考ください。
⇒制御盤とは)
操作盤は運転士が使いやすいように
上下左右と常に動きます。
フレキの中に入っている
電線も常に動くということです。
それで摩耗して電線がすれたり
断線したりすることはよくあることです。
予備線を数本いれていたので
関係ありそうな電源線を交換して
様子をみることにしました。
しかし・・・
故障はおさまらない
また、故障が起こります。
つまり 予備線で交換した
電線は故障原因ではなかったのです。
再度、調べていると
また故障がひっこみます。
このとき、運転士の人から
ある情報を得ます。
Y軸は+方向、-方向と自動に動くが
Z軸だけは+方向にしか動かない、
トグルスイッチで-方向に選択しても
+に常に動くというのです。
これはおかしい。
これをおかしいと思い
電気回路をみると ある仮説が立てれました。
もし この電線が混線していたら
今いったような動きになるし、
今までの動作、停止ボタンを押しても
止まらない など も全て説明がつく。
運転士に 今度 故障が起こったら
こういった動作をするかどうか確認してほしい
もし、そのとおりなら
仮説が当たっていることになります。
といって説明していたら
運のいいことに
その故障が再度起こりはじめます。
そして、操作してみると仮説どおりの
動きをします。
核心にかわったので、その部分の電線を
予備線にすると 故障がなおりました。
よかった。。。
3.最後に
再現しない故障は
なかなか原因を掴みにくいですが、
再現しないからといって
何もしないわけにはいかないので
原因を絞っていく しかけを
いくつか 検討していたところでした。
シーケンサを使って故障が起きたら
痕跡が残るプログラムを組み
原因を確定させること考えていました。
(シーケンサについては
以下のサイトを参考ください。
⇒PLCとは、シーケンサとは)
結構な手間がかかります。
しかし、工作機械は機械を分解しないと
触ることができない場所に電気制御機器や
電線があります。
分解した後に、関係なかった・・・では
分解の方にコストがかかってしまいますから。
シーケンサでの「しかけ」を実行する前に
直ってくれてよかったです。
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