2.8tの天井クレーンの
突発故障修理をしてきました。
1.故障症状
故障症状は、天井クレーンが
まったく動かないといったものです。
巻上、横行、走行方向全てです。
2.やったこと
全動作動かないわけですから
電源が入っているかどうかの
確認からします。
ブレーカーを確認するとおちています。
(ブレーカーについては
以下のページを参考ください。
→ブレーカーとは)
ブレーカーをいれると、走行用の可逆電磁接触器が
入った制御盤のあたりから火花がでて
再度ブレーカーがおちました。
(電磁接触器については
以下のサイトを参考ください。
→電磁接触器とは、電磁開閉器とは何か)
(制御盤については
以下のページを参考ください。
→制御盤とは)
その制御盤の付近の
短絡故障の可能性が高いです。
走行制御盤はクレーンガーターに
取り付けていますので(高所)
昇って
傍にいってみると三相電源線である
ケーブル内の電線のゴムなどの絶縁物が
がむけて異相間で接触しそうです。
(接触すると短絡し、ブレーカーはおちます)
そして、走行制御盤内の電磁接触器を見ると
主接点溶着の故障をしています。
とりあえず悪い所から修理するのが鉄則なので
この部分から直すことにしました。
もう制御盤の盤が古いので
盤ごと新品に交換しました。
交換後はブレーカーをいれても
おちません。
3.それでも走行が動かない
試運転で巻上や横行は正常動作しますが
走行が正常動作しません。
動こうとはしているのですが、
進んでいきません。
走行用ギヤードモーターのブレーキが
開放されていないことを疑いました。
この走行用ギヤードモーターの電磁ブレーキは
直流制動なので可動鉄心と固定鉄心の
ギャップが開きすぎると
ブレーキ開放をしなくなります。
モーターの傍までいって動作させてみると
目と音でブレーキ開放は確認できるので
ブレーキは問題ありません。
そして、モーターから
「うーん」という唸るような音がします。
これは走行用ギヤードモーターが
単相運転になって動作していないと
推測できます。
調査すると走行用ギヤードモーターの
モーターは三相誘導電動機なのですが
内部でコイルが断線しています。
(三相誘導電動機については
以下のページを参考ください。
→三相誘導電動機とは)
それが単相運転の原因です。
電磁接触器は単相のため
大電流が流れて溶着したのかもしれません。
そしてコイルが焼けて
ばさばさに断線したと推測します。
(コイルの焼けについては
以下のページを参考ください。
→固定子コイルの故障)
4.モーター部だけ組み替える
その会社は、この天井クレーンは
今日使いたいといっています。
日本ホイストの走行用ギヤードモーターですので
本社に買いに走れば
在庫があるかもしれません。
そう思っていると、その会社の人が
以前 中古で購入したサドルについている
走行用ギヤードモーターは使えないか
といってきました。
確認すると同じ日本ホイストの
0.4kWの走行用ギヤードモーターで
使えそうです。
ただ、故障したモーターは低速で
ここにあるモーターは高速です。
つまりギヤードモーターの減速比が違うのです。
走行は2台のギヤードモーターで
動くので、2台のモーターの速度が
違う(減速比が違う)と使えません。
つまり
そのまま交換するわけにはいきません。
ただ、
同じ日本ホイストの走行ギヤードモーター同士ですので、
モーター部分だけを交換することができます。
モーター部分のコイルが故障しているわけです。
そこさえ交換してしまえば修理できます。
減速ギヤなどその他の部分は
故障していないわけですから。
モーター部分だけを取り外して
故障品と取り替えて復旧させました。
そこに会社に使える走行ギヤードモーターが
あって早く復旧できてよかったです。
写真は溶着した電磁接触器です。
コメントを残す