2.8tホイストのギア油漏れの
メンテナンスをしました。
ホイストは、長年使うと
ギア部に充填している油が外部に
漏れてきます。
油漏れの原因は
シールの劣化です。
メンテナンスは分解して行います。
ですので、
ホイストを取り外す(おろして)
必要があり、分解・交換・組立・再上架・
電気配線接続等、工数がかかります。
一般的には
2.8t程度の軽量のホイストは
工数がかかるメンテナンスよりも
新品へ取り換えた方がコスパが
いいので、やりません。
今回は、今のホイストを
そのまま使った方がよい事情が
あったのでメンテナンスをすることに
なりました。
1.ギア油の漏れる箇所と推測
上写真がメンテナンスした
ホイストです。
ワイヤードラムを挟んで
ギア側とモーター側があります。
ギア油はギア側にいれるわけだが
ギア側には油漏れを防ぐために
当然シールがあります。
今回はギア側よりも
モーター側のワイヤードラムからの
油漏れがひどいです。
なぜ、油がないモーター側から
漏れるかというと
軸を通じてギア側から油が
伝わってくるからです。
軸のはめ込み部には
オイルシールを装着していますが
それは、時間と共に劣化してきます。
そこから、油が流れて
モーター側のワイヤードラムから
漏れたと推測します。
モーター側は、元々油がない前提ですので
シールをしていないので、
余計に漏れるわけです。
2.分解と油漏れ部
上写真は、分解後のモーター側の
ワイヤードラム部です。
写真のように油がたまっています。
これだけ溜まり、シールもなければ
隙間から油が漏れるのも納得できますね。
3.組立と交換
上写真が交換した
オイルシール部です。
これが劣化すればギア部の油が
ワイヤードラムに流れ込むことは
考えられます。
今回は油漏れを修理するためなので
交換は絶対ですが
他の理由の分解であっても
交換する部品です。
あとは、劣化しやすい部位の
ベアリングも交換します。
(ベアリングについては
以下のページを参考ください。
⇒ベアリングの故障)
(回転子については
以下のページを参考ください。
⇒三相誘導電動機(三相モーター)の構造)
液状シールもしかっり
塗って再度の漏れを防ぎます。
この際、以前の残り跡は
綺麗に取り除くことが重要です。
4.終わってみて
結構な工数や材料費、
その他もろもろがかかりました。
やはり2.8tぐらいのホイストなら
新品に交換した方が
トータルで考えるとメリットが
あるでしょうね。
(今回は、事情があり
メンテナンスしました)
30年近く使っていれば
色々な部品は多少なりとも
摩耗はしているでしょうし、
補修用部品もいつ供給停止に
なるか分かりませんので。。。
交換はしませんでしたが
摩耗していた部品として
固定子のコイルがありました。
上写真のように
熱を持った形跡があり
半焼けしています。
(固定子コイルの焼損については
以下のページを参考ください。
⇒固定子コイルの故障)
とりあえず数年間使えているし
固定子は価格も高いので
完全に故障したときに交換することに
しました。
今回は日本ホイストのホイストでしたが、
ギア油漏れは、数十年経過すれば
どのホイストでも見受けられます。
メーカーは10年に1回、シール交換等の
メンテナンスを推奨していますが
よほどの事情がない限りは
手間・コスト面からできないでしょうね。
ギア油の補給だけして
放置している会社も多くあるようです。
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