ベンダーの故障修理をしました。
1.故障内容
付き合いのある商社から
ある鉄工所の管を曲げるベンダーの
修理依頼がきました。
単純な機械かと思い
現地へ行くと結構大型の
複雑そうに動く機械でした。
その会社の何人かの運転士の方に状態を聞くと
機械本体に取り付けてある制御盤と
機械を操作する操作盤を接続しているケーブルを
触ったら動くようになったことがある、
なので、電線が
断線しかかってるのではないか?
ケーブルを触ったが動かない、
ブレーカーを一回おとすと動いた
など様々な意見がでました。
(制御盤については
以下のページを参考ください。
⇒制御盤とは)
(操作盤については
以下のページを参考ください。
⇒操作盤とは)
(ブレーカーについては
以下のページを参考ください。
→ブレーカーとは)
2.やったこと
制御盤の中を見ると
シーケンサが取付けてあります。
(シーケンサについては
以下のページを参考ください。
⇒PLCとは、シーケンサとは)
シーケンサで
自動制御している機械のようです。
シーケンサ本体の他に
増設ユニットが2台入っています。
シーケンサを使っているとは思ってないので
パソコンは持ってきていません。
とりあえず証言のあった
ケーブルから調べることにしました。
運転士の方の話だと、本来、押せば動くはずの
ボタンがいくつもあるが、
色々押しても、ほとんど動かないとのことです。
そういった状態なので
共通線を調べてみました。
電気回路図を見ながらシーケンサからの
共通線の断線を何本か
調べましたが問題ありません。
操作盤と制御盤を接続するコネクタを抜いて
摩耗やゴミを確認しましたが
特に問題ないようです。
そして、再度ブレーカーをいれて
運転ボタンを押しても動作しません。
この機械は 最初に油圧ポンプモーターの
起動ボタンを押して動かすようになってます。
工作機械は油圧回路が起動しないと
他の動作は全くできないように
保護している機械が多いです。
そのことから、この機械もそうかと考え
油圧部分の電気回路をみて、電磁開閉器が動いているか
そしてその補助接点含め問題ないかを
確認しましたが問題ありません。
(電磁開閉器については
以下のページを参考ください。
⇒電磁接触器とは、電磁開閉器とは)
理屈は考えず制御盤と操作盤を
接続するケーブルを調べるにしても
電線が100本以上あるので時間がかかりすぎます。
手当たり次第調べるやり方から
じっくりと理論的に調査するやり方に
切り替えたいですが、パソコンがないので
シーケンサの中のプログラムが分かりません。
と電気回路図をみていくと、
最後にプログラムである
ラダー図のコピーも入れてくれています。
(ラダー図については
以下のページを参考ください。
⇒ラダー図とは)
これはありがたい、
これならパソコンがなくても
どういった制御をしているか分かります。
もし、電磁弁などシーケンサで
動作させる機器とシーケンサ間の
電線の断線だとしても
シーケンサからは出力信号は
でているはずです。
(電磁弁については
以下のページを参考ください。
⇒電磁弁とは)
確認すると
シーケンサ本体のランプが
点灯していません。
出力信号が出ていれば
上写真のように、該当する
デバイス番号のランプは点灯します。
つまり、断線ではありません。
入力センサー等の問題かもしれません。
パソコンを使い解析
こうなるとパソコンを使わないと
調査が先に進みません。
あきらめてパソコンを取りに帰りました。
パソコンにインストールしている
専用ソフトであるGXWorks2を使い
モニターモードで解析していると
増設ユニットのランプは2台とも
1つも点灯していないことに気が付きました。
調査をすると2台ともおかしいです。
シーケンサと増設ユニットを
接続するケーブルの問題を疑い、
2本をふりかえてみてもかわりません。
こうなってくると
ケーブルが2本 もしくは 増設ユニットが2台
一気に故障するよりも
シーケンサ本体のCPUが
故障したと考えることが正しいです。
つまりシーケンサ本体と増設ユニットの
通信ができていないのです。
GXWorks2でシーケンサのPC診断をします。
すると 増設ユニットと通信ができてないことを示す
I/O構成エラー1030 とPC/PP通信エラーがでています。
シーケンサ本体のCPUが
悪い可能性が高くなりました。
このまま 無駄に時間を
過ごしてもいけないので
シーケンサを交換することにしました。
シーケンサの交換
FX2Nシリーズは生産中止なので
代替品のFX3Uシリーズを交換することにします。
商社に、ちょうど欲しい接点数や出力形式の
シーケンサの在庫がありました。
しかし、今使っているFX2Nには
アナログボリュームがついています。
(アナログボリュームについては
以下のページを参考ください。
⇒シーケンサのアナログボリューム D8030/31 VRRD/VRSC)
FX2Nで使っているアナログボリュームを
FX3Uでは使えません。
シーケンサはすぐにありますが、アナログボリュームは
メーカーである三菱電機にも在庫がなく
納期が一か月かかるのとのことです。
このアナログボリュームは
シーケンサ内部のタイマーの値を
可変するために使っています。
運転士に聞くと、アナログボリュームは
触ることはないとのことですので、
モニターモードで既存の値を読み取り、
その値をプログラム内で固定することで対策しました。
新品のシーケンサに交換すると
見事に正常動作しました。
写真は交換した故障したシーケンサです。
3.所感
このシーケンサのCPUは壊れかけていて
電源をきってしばらくすると
動き始めるという動作を
繰り返していたようです。
この機械を見ると11年前の機械ですので
シーケンサの寿命だったのでしょう。
とにかく、急いでいるようだったので
丸1日で確実に直ってよかったです。
中司電機工業様の日記を拝見させて頂きました。
実は今年の7月末からシーケンサーfx3ucが毎月故障して4ヶ月で3回も交換しました。
機械メーカーも原因が分からず困っています。
相談に乗って貰えないでしょうか?
よろしくお願いします。
こんにちは。
どういった症状の故障でしょうか?
因みにリミットスイッチ等が正常なのは確認しております。
色々な症状が出ます。1.2個目のシーケンサーは電源を入れてスタートボタンを押すと物が機械に入って無いのに動き出しました。3個目はシャッターと呼ばれる部分が開いて閉じるのですが開いたままで機械が止まってします。シーケンサーを交換したら正常に動きました。
機械にドライブや基盤も付いているのですが、それらも新品に交換しています。なのでシーケンサーに何が悪さをしているか分からない状態です。
この段階では、色々な可能性が考えられますね。
異常が起こった際に、シーケンサ内部のプログラム状態を
モニターモードで確認していますか?
本当にシーケンサが悪いのか、外部の部品や電線が悪いのかを
そこで見極めることが必要です。
PS:
返信はコメントではなく、メールでお願いします